「自宅の庭や屋根裏から夜中に物音がする」「家庭菜園が荒らされているけれど、アライグマとタヌキのどちらなのか見分けがつかない」とお困りではありませんか。
アライグマとタヌキは、どちらも目の周りが黒っぽく体格も似ているため、見分けがつきにくい動物ですが、身体的な特徴や侵入する場所、残す痕跡、家屋への被害傾向などが大きく異なります。さらに、適用される法律が異なるため、正しく見極めずに対処すると、思わぬ法律違反を招いてしまいます。
この記事では、日本ペストコントロール協会の「優良事業所」に認定されている害獣駆除パートナーの専門家が、アライグマとタヌキの決定的な違いを、外見・痕跡・被害傾向・法規制など様々な視点から徹底的に解説します。

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目次
アライグマとタヌキの特徴と違い
まずは、アライグマとタヌキがそれぞれどのような動物なのか、基本的な生態を把握しておきましょう。
「アライグマ」はどんな動物?
アライグマは、もともと日本には生息していなかった北米原産の外来種です。1970年代のアニメ「あらいぐまラスカル」の影響で、日本国内にペットとして持ち込まれましたが、遺棄や脱走によって野生化し、急速に生息域を広げました。

可愛らしい見た目とは裏腹に気性が荒く、攻撃的で警戒心も旺盛です。手先が非常に器用で、木登りや建物のよじ登りも得意という特徴を持っています。
そのため、一般住宅の雨樋や柱を伝って屋根裏に入りこみ、そこを巣にして異臭・騒音被害や家屋の損傷を引き起こす例が全国で急増しています。
「タヌキ」はどんな動物?
タヌキ(ホンドタヌキ・エゾタヌキ)は、古くから日本列島に生息している日本固有の在来種です。昔話にも頻繁に登場するイヌ科の動物で、北海道から九州までの山地、近年では都市部の公園や河川敷、住宅街などにも広く生息しています。

アライグマと比べると性格は臆病でおとなしく、人間に危害を加えることはあまりありません。アライグマのように木登りや高所へ登る能力は低く、低い場所で活動します。
人家の周辺では庭や畑に現れることが多く、ときには床下や倉庫、納屋などに住み着きます。農作物が食害を受けたり、庭に糞をされたりする被害が発生しています。
アライグマとタヌキの特徴の「比較表」
2つの動物の主な特徴を一覧表でまとめました。敷地内で見かけた際や、痕跡を確認する際の目安としてご活用ください。
| 比較項目 | アライグマ | タヌキ |
|---|---|---|
| 見た目(尻尾) | 尻尾が長く黒い縞模様が4~10本 | 尻尾が短く模様は無い |
| 被害の兆候 | 屋根裏からの騒音 | 床下からの騒音 |
| 食べ物 | 肉食が強く器用に食べる | 地面に落ちた木の実や昆虫 |
| 糞 | 屋根裏での「ため糞」 | 庭や畑など低所に「ため糞」 |
| 足跡 | 5本指の子どもの手形のよう | 指の数が4本で丸い肉球がある |
| 侵入経路 | 高い場所の隙間から侵入 | 低い場所から床下に侵入 |
| 適用される法律 | 鳥獣法と外来生物法 | 鳥獣法 |
| 予防 | 高所の侵入防止、頑丈な資材 | 低所の侵入経路を封鎖 |
アライグマとタヌキの「見た目(顔と体型)」の違い
姿を目撃した際、アライグマかタヌキかを判別する最大の手掛かりが「尻尾」です。
また、顔の確認ができれば、全体の配色からどちらか見極めることもできます。
アライグマは尻尾が長く、黒い縞模様が4~10本ある
アライグマを見分ける最も確実なポイントは「尻尾」です。体長の約半分にもなる20~40cmほどのふさふさとした長い尻尾があり、黒色・茶色の縞模様が4~10本くっきり入っています。

顔からも判別できます。両目の間、眉間から鼻にかけて黒い一本の縦筋が通っており、耳の輪郭(縁)が白い毛で縁取られているのがアライグマの顔の特徴です。
タヌキは尻尾が短く、模様は無い
タヌキの尻尾は15~25cm程度と体長に比べ短く、丸みを帯びた形状をしています。アライグマのような縞模様は無く、全体が茶褐色で、先端部分だけが黒くなっています。

顔の模様にも違いがあります。目の周囲に黒色が広がっており、眉間に縦線は入っていません。
また、耳の輪郭はアライグマとは逆に黒い毛で覆われています。首回りがずんぐりし、足が短い体型もタヌキの特徴です。
アライグマとタヌキの「被害の兆候」の違い
「姿は見ていないが家の中で音がする」という場合、音がどこから聞こえてくるかによって侵入している害獣を推測できます。
「屋根裏からの騒音」ならアライグマ
屋根裏から「ドスドス」と重量感のある足音や物音が聞こえる場合、その正体はアライグマである可能性が高いです。
次の動画は、アライグマが屋根裏で動き回っている様子をとらえたものです。
成獣のアライグマは体重が4~10kgに成長するため、天井板を踏み鳴らす音は非常に大きく響きます。屋根裏の断熱材を引き裂いたり、嚙み千切ったりする音が聞こえることもあります。
また、夜行性であるため、人間が寝静まった深夜に活発に動き回ります。
なお、アライグマ同様にハクビシンも被害が屋根裏に集中します。体重が軽いため、「トコトコ」と軽い足音がしたらハクビシンの可能性もあります。
「床下からの騒音」ならタヌキの可能性
音が屋根裏ではなく、床下や縁の下、ウッドデッキの下などから聞こえる場合はタヌキが疑われます。
タヌキは、アライグマ(やハクビシン)のように、垂直に壁を登ったり、屋根伝いに侵入したりする能力はありません。

そのため、地面近くの隙間や換気口を見つけて床下に潜伏し、そこで寒さをしのいだり子育てを行ったりすることが多いです。床下から鳴き声や、何かが擦れるような音が聞こえる場合は、床下にタヌキが住み着いている恐れがあります。
もっとも、アライグマも床下を棲み処にするケースもあるため、他にも事実関係や痕跡をよく見極めて総合的に判断する必要があります。また、ネコやアナグマ、イタチなども床下に侵入し営巣することがあります。
アライグマとタヌキの「食べ物」の違い
アライグマもタヌキも雑食性で、庭や家庭菜園、ゴミ置き場を荒らしますが、食性や残される食べ跡にはそれぞれ一定の傾向が存在します。
アライグマは肉食性が強く、手先が器用で綺麗に食べる
アライグマは雑食性ですが、ネズミなどの小動物、鳥類やその卵、魚、カエル、甲殻類などを好むなど、動物食の傾向が強いです。
手先が器用で、前足の指を人間のように動かせるため、畑を荒らす際にも独特の痕跡を残します。
例えば、トウモロコシの皮を剥いて実だけを綺麗に食べたり、スイカやメロンに小さな穴を開け、前足で中身をくり抜いて空洞にしたりします。

庭の池で飼育している錦鯉や金魚が捕食される被害も、器用に魚を捕まえるアライグマが犯人であることが多いです。
タヌキは木の実やミミズ、昆虫を食べる「地上の掃除屋」
タヌキも雑食性ですが、アライグマに比べると狩りは得意ではなく、地面に落ちている果実や木の実、地中のミミズ、甲虫類などの昆虫を好んで食べるため、「地上の掃除屋」と言われることがあります。
アライグマと異なり、前足を上手に使って物を掴むことはできないため、農作物を食べるときは皮を器用に剥くことはできません。地面に近い位置になった木の実も、口でガツガツとかじり散らかすような食べ跡を残します。
アライグマとタヌキの「糞」の違い
アライグマとタヌキは決まった場所で排泄を繰り返す「ため糞」という習性がありますが、その場所と内容物には違いが見られます。
アライグマは屋根裏での「ため糞」が多い
アライグマは棲み処の近くで「ため糞」を行います。住宅の周辺では庭やベランダなどの隅、屋内では屋根裏の一角が選ばれやすいです。屋根裏のため糞を放置すると天井板に濃い尿染みができ、進行すると腐食して天井が抜け落ちることもあります。

タヌキはもため糞をしますが、高所を選ぶことは無いため、場所から判別できることがあります。(ハクビシンも屋根裏をため糞の場所としやすいです)
フンの大きさは長さ5~15cm、太さ2~3cmで、犬のフンに似た形状です。

雑食性のため、食べた種子や昆虫の殻、動物の骨などが混ざり、強烈な悪臭を放ちます。
また、アライグマの糞には人間に重篤な神経障害を引き起こす「アライグマ回虫」の卵が含まれているリスクがあるため、絶対に素手で触れてはいけません。
タヌキは庭や畑など低所に「ため糞」をする
タヌキもため糞の習性がありますが、その場所はほぼ「屋外の地面」です。庭の隅、生垣の根元、畑の畝の間、床下の土の上などに家族単位で共有する巨大なため糞場を作ります。
糞は山のように盛り上がり、ひどい悪臭を放ちます。(もっとも、動物性の強いアライグマの方が臭いは強烈なことがあります)
タヌキの糞には消化されなかった木の実の種や甲虫の羽などが大量に含まれており、植物質が多いのが特徴です。
アライグマとタヌキの「足跡」の違い
アライグマとタヌキは、柔らかい土や、建物の外壁、雨樋(あまどい)、ベランダ、屋根の上など、活動範囲の様々な場所に足跡を残します。
足跡をよく観察すれば、どちらの種か判別することができます。
アライグマの足跡は「5本指の手形」
アライグマの足跡の最大の特徴は、前足・後足ともに「指が5本」あり、地面にはっきり残ることです。指が長く、人間の子どもの小さな手形のような独特の形状をしています。

また、アライグマはかかとまで地面につけて歩く「蹠行性(しょこうせい)」の動物であるため、泥の上や埃の積もった屋根裏などでは、鋭い爪痕も含めて足跡全体が鮮明に残ります。
この「5本指の手形」が見つかれば、アライグマの侵入が疑われます。
なお、指が5本でも、指先が丸く、離れている場合はハクビシンの可能性もあります。詳しくは次の記事をご覧ください。
タヌキは指の数が「4本」
タヌキはイヌ科の動物であり、一般的な飼い犬と同様、足跡に残る指の数は「4本」です(退化した親指にあたる狼爪は地面につきません)。
また、タヌキはつま先立ちで歩く「指行性(しこうせい)」であり、足跡は中型犬やキツネ、猫などのように、丸みを帯びた形状になります。
爪を引っ込めることができないため、4つの肉球の先端には爪の跡が点々と残ります。肉球の並びが丸く、手形というより「肉球スタンプ」といった形をしていればタヌキの可能性が高いです。

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アライグマとタヌキの「侵入経路」の違い
アライグマとタヌキは、それぞれの習性から、家屋に入り込むときの「侵入経路」に違いが見られます。
アライグマは「高所の隙間」から侵入する
アライグマは力が強く鋭い爪も持っており、垂直な外壁や、雨水を通す雨樋(あまどい)、庭木などを簡単によじ登ります。
そして、高所の隙間を探し出し、屋根裏に侵入します。屋根の重なり部分や、破風板(屋根の端部分の板)、軒下の接合部分、排気口や換気扇などが侵入経路となることが多いです。

また、必ずしも高所だけではなく、床下換気口などの基礎周辺から入り込むケースもあります。
アライグマの体は非常に柔軟で、頭さえ通れば直径10cm程度の穴からでも建物内部に入り込むことができます。

外壁や雨樋に手形のような足跡が残っていれば、そこがアライグマの侵入ルートになっている可能性が高いです。
タヌキは「地面に近い場所」から床下に侵入する
タヌキは高所に登ることは無いため、侵入経路は地表付近に限られます。
代表的な場所は、住宅の基礎に設けられた床下換気口や、勝手口の段差の下、ウッドデッキの下、増築部分の基礎と建物の継ぎ目などです。
タヌキは穴を掘る習性もあり、換気口に金網が取りつけられていても、地面の土を前足で掘り返し、隙間を広げて床下に入り込むようなこともあります。
アライグマとタヌキに適用される法律の違い
害獣被害に遭った際、「自分で罠を仕掛けて捕まえたい」と考える方も少なくありません。
しかし、アライグマとタヌキにはそれぞれ法律上の厳しいルールが定められており、無断で捕獲や運搬を行うと法律違反になります。
アライグマは「鳥獣保護管理法」と「外来生物法」が適用される
北米原産のアライグマは、野生動物の捕獲を禁じる「鳥獣保護管理法」に加え、「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」が適用されます。

外来生物法によって生態系や農林水産業に被害を及ぼす「特定外来生物」に指定されているため、以下の行為が原則として固く禁止されています。
・生きたままの飼育や保管
・生きたまま車や徒歩での運搬
・野外への放出(別の場所に逃がす行為も含む)
これらに違反した場合、個人の場合は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(またはその両方)という重い刑事罰が科される可能性があります。
たとえ自治体から箱罠による捕獲許可を得て捕獲できたとしても、生きたまま車に乗せて移動させると法律違反となるため、取り扱いには専門知識が欠かせません。
タヌキは「鳥獣保護管理法」が適用される
日本在来種であるタヌキは、外来生物法の対象ではありませんが、「鳥獣保護管理法」によって保護されています。

鳥獣保護管理法は、イエネズミ3種などの例外を除いて、原則として野生の鳥獣すべてについて許可無く捕獲・殺傷することを禁じています。
野生動物が住宅に住み着いて被害を出していても、無許可で罠を仕掛けて捕獲や駆除を行うことはできません。違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります。
タヌキを捕獲するには、お住まいの自治体に有害鳥獣捕獲の申請を行い、事前の許可を得る必要があります。
アライグマとタヌキの予防・駆除のポイント
アライグマとタヌキの被害に自分で対処する場合、法律上のリスクを避けるため、「捕獲」ではなく「追い出し」と「侵入経路の完全封鎖」を行うのが基本となります
アライグマ予防:「高所の侵入防止」「頑丈な資材」が重要
アライグマの侵入を防ぐためには、高所にあるすべての隙間を徹底的に封鎖する(塞ぐ)必要があります。
アライグマは爪や牙が鋭く、腕力もあるため、薄い金網や木の板、テープ類などは簡単に破壊されてしまいます。
そのため、封鎖にはステンレス製の「パンチングメタル」を使用するのが鉄則です。0.5mm前後の厚みがある頑丈なパンチングメタルを用意し、金切りバサミで隙間の形状に合わせてカットした上で、ビスを用いて建物の躯体に強固に固定します。

また、雨樋に有刺鉄線やネズミ返しなどを取り付けたり、屋根に伸びている庭木の枝を剪定したりするなど、高所への足場をなくす対策も極めて有効です。
タヌキ予防:床下換気口や基礎周りなど低所の侵入経路を封鎖
タヌキの侵入を防ぐには、地面付近の開口部を封鎖する(塞ぐ)対策を行います。

損傷した床下換気口のネットを金属製の頑丈なものに取り換えたり、基礎と建物の隙間をコーキング剤やパンチングメタルで塞いだりします。
タヌキは、地表に障害物があったとき、前足で地面を掘って下からくぐり抜けようとする習性があるため、金網を設置する際は地面深くL字型に埋め込むと侵入を防ぐことができます。

アライグマとタヌキの駆除:家屋に侵入したら「追い出し・封鎖」が必要
屋根裏や床下からの足音や異臭など、アライグマあるいはタヌキの侵入が疑われる場合は、被害が深刻化する前に次の手順で対処する必要があります。
①アライグマ・タヌキの「追い出し」(または「捕獲」):屋内にアライグマが居ない状態を作る
②侵入経路の穴塞ぎ(封鎖):侵入に使われた穴を特定して塞ぐ
③糞尿の清掃:残された糞尿を清掃・消臭する
④害虫駆除・殺菌消毒:ダニやノミの駆除、ウイルス・病原菌の殺菌消毒を行う
これらをすべて自分で行うのは、高所作業のリスクや感染症対策の面から現実的に難しい場合が多いです。「自分では難しい」と感じたら、被害が広がる前に専門業者へ相談しましょう。

なお、アライグマ駆除の費用は、被害状況や住宅の構造にもよりますがおおよそ10万~30万円前後が相場と言われています。費用相場や信頼できる業者の選び方については、以下の記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
アライグマ・タヌキの被害にお困りなら害獣駆除業者へ
アライグマとタヌキは、見た目は似ていても侵入経路や被害傾向、適用される法律が大きく異なります。
一方で、どちらも執着心が強く、「侵入経路を1カ所だけ塞いでも、別の隙間をこじ開けて戻ってくる」といったように、中途半端な対策をすると被害が再発する可能性が高いです。
さらに、屋根裏の高所作業や床下の狭い空間での作業は危険を伴い、糞尿に含まれる病原体や寄生虫による健康被害のリスクもあります。
「天井裏の物音が激しくて夜も眠れない」
「自分で追い出そうとしたが、侵入経路が特定できない」
「法律の手続きが複雑で、どう対処すればいいか分からない」
このような場合は、無理にご自身で解決しようとせず、専門の害獣駆除業者へ相談することをおすすめします。
日本ペストコントロール協会「優良事業所」の害獣駆除パートナーは、現地調査から追い出し作業、侵入経路封鎖、糞尿清掃や消毒作業までワンストップで対応します。現地調査およびお見積もりは無料で承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
なお、記事中で触れた通り、アライグマと同じく屋根裏に住み着きやすい害獣として「ハクビシン」が挙げられます。屋根裏の異音や糞尿被害はハクビシンが原因となっているケースも多いため、あわせてハクビシンの特徴や見分け方も知っておくと、状況に応じた最適な対策を取りやすくなります。ぜひ次の記事をご覧ください。










