アライグマによる被害にお悩みの方の中には、「アライグマに天敵はいないのか?」「天敵を利用して追い払えないのか?」と考えたことのある方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、日本国内において、アライグマを日常的に捕食するほどの「強力な天敵」はほぼ存在しません。むしろアライグマは、日本に生息する中型の野生動物の中でもかなり優位な立場にある動物です。
天敵の匂いや鳴き声を嫌う習性を利用した対策も存在しますが、その効果は一時的なものにとどまります。アライグマ被害を確実かつ長期的に防ぐには、天敵に頼らない「根本的な対策」が欠かせません。
本記事では、アライグマの天敵事情とその限界、そして被害を収束させるための根本的な対策について詳しく解説します。アライグマ被害にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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目次
アライグマに「天敵」と呼ばれる存在はいるのか?

アライグマは北米を原産とする、食肉目アライグマ科の哺乳類です。
原産地の北米には、オオカミ・ピューマ・コヨーテといった大型の肉食獣が生息しており、これらが本来の「天敵」として個体数を自然に抑える役割を果たしています。
一方、日本国内にはこうした大型の肉食獣がほとんど存在しません。ニホンオオカミは明治時代にすでに絶滅しており、ヒグマが生息する北海道にはアライグマ自体が定着していないため、大型獣による捕食のプレッシャーはかかっていないのが実情です。そのため、日本国内でアライグマの脅威となりうる存在としては、以下のような動物が挙げられます。
猛禽類(タカ・ハヤブサ・フクロウなど)

タカやハヤブサ、フクロウといった猛禽類(もうきんるい)は、鋭い爪とくちばしを持つ肉食の鳥類です。日本で見られる主な猛禽類は次の通りです。
| 分類 | 種類 |
|---|---|
| タカ目 | トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、クマタカ、イヌワシ、サシバ |
| ハヤブサ目 | ハヤブサ、チョウゲンボウ |
| フクロウ目 | フクロウ、アオバズク、コノハズク、コミミズク |
これらは「アライグマの天敵」とされることもありますが、成獣が実際に襲われるケースは極めて低いのが現実です。
アライグマの成獣は体長40〜60cm、体重4〜10kgほどで、中型犬に近い体格をしています。日本の猛禽類にとって、この大きさの獣に反撃されるリスクは高く、積極的に狙うことはまずありません。狙われる可能性があるのは、アライグマの子供(幼獣)に限られます。
ハクビシン・キツネ・タヌキなどの中型哺乳類

ハクビシン、キツネ、タヌキといった中型の哺乳類も、アライグマの「天敵」として名前が挙がることがあります。
しかし、これらはアライグマを捕食する存在ではなく、同じ餌場や住み処を奪い合う「競合相手(ライバル)」と捉えるのが適切です。
特にハクビシンは、住宅の屋根裏をねぐらにする習性がアライグマと共通しており、駆除現場では両者の足跡や糞が同じ屋根裏で見つかることも珍しくありません。
以下の2つの動画は、アライグマとハクビシンが屋根裏に侵入している様子です。このような映像からも、両者が同じ場所を棲み処にしていることが分かります。
体格・気性の両面でアライグマの方が優位なため、縄張りが重なった場合はハクビシンが追い払われるケースが多く、アライグマが中型哺乳類との争いで負ける場面はあまり見られません。
大型の飼い犬

アライグマよりも体格の大きい大型犬は、アライグマにとって実質的な「天敵」といえる存在です。
捕食関係にはありませんが、敷地内にアライグマが近づいた際、犬が威嚇して追い払う可能性は十分にあります。飼い犬のいる住宅は多く、日本国内でアライグマを牽制できる存在としては、現実的には大型犬が最も身近といえるでしょう。
以下の動画では、住宅の周辺をアライグマが歩いている様子が捉えられています。こうしたシーンで大型犬を屋外で飼育していれば、追い払ってくれる効果があるかもしれません。
以上を踏まえると、アライグマを野生下で日常的に捕食するような強力な天敵は、日本にはほぼ存在しないというのが実情です。ハクビシンなど他の中型害獣と比較しても、アライグマは競合相手に負けにくい立場にあり、この「脅威の少なさ」こそが、日本各地でアライグマの生息域が急速に拡大している要因の一つと考えられます。
「天敵を嫌う習性」を利用したアライグマ対策
前節で見た通り、アライグマにとって脅威となる存在は限られています。とはいえ、その「天敵を嫌う習性」を対策に活用できないか、という視点も有効です。
一般的な住宅で取り入れやすい対策は、以下の2つです。
対策①:天敵の「尿の匂い」を利用する

アライグマは警戒心が強く、自分より大きな捕食者の尿の匂いを本能的に避ける傾向があります。
この習性を利用し、「オオカミの尿」を主成分とした忌避剤が市販されています。設置するだけでアライグマを遠ざける効果が期待できます。
過度な期待は禁物ですが、ネット通販などで手軽に購入できるため、アライグマ対策の第一歩として検討してみる価値はあるでしょう。
※補足:アライグマとオオカミは生息地域が異なるため、自然界でオオカミが実際にアライグマを捕食する関係にあるわけではありません。あくまで「野生動物が本能的に警戒する匂い」を応用した対策です。
対策②:天敵の「鳴き声」を利用する

アライグマは聴覚が鋭く、見知らぬ大型動物の鳴き声にも警戒する習性があります。
この習性を利用し、大型犬や猛禽類の鳴き声をスピーカーなどで流すことで、屋根裏や床下からアライグマを追い出せる場合があります。天井の点検口から音を流し、「ここには天敵がいる」と誤認させる方法です。
なぜ「天敵」だけでは根本的な解決にならないのか

匂いや鳴き声を使った対策には一定の抑止効果がありますが、いずれも「一時的」なものにとどまり、根本的な解決策にはなりにくいのが実情です。背景には、アライグマの高い学習能力と、日本の住環境特有の事情があります。
理由①:学習能力が非常に高く、刺激に慣れる
アライグマは野生動物の中でもとくに学習能力が高いことで知られています。最初は天敵の匂いや鳴き声に警戒しても、実害がないと分かると次第に無視するようになります。
この傾向は天敵を利用した対策に限らず、市販の忌避剤や超音波装置全般にも共通しており、専門業者の駆除現場でも同じ製品を繰り返し使うことで効果が薄れていく例が確認されています。
理由②:日本の住宅街はアライグマにとって「安全地帯」
日本の住宅街は、アライグマにとって非常に暮らしやすい環境です。雑食性のため生ゴミや家庭菜園の作物など食料には困らず、屋根裏や床下といった天敵から身を隠せる場所は、絶好の休息場所かつ繁殖の拠点になります。
こうした環境が整っている限り、多少の威嚇や忌避剤だけではアライグマを完全に排除することは難しいのが実情です。
アライグマ被害の「根本的な対策」
匂いや音を使った対策はあくまで一時的な効果です。被害を根本から解決し、将来的な再侵入も防ぐためには、以下の3つの対策が欠かせません。
根本的な対策①:ゴミ・ペットフード・農作物の管理

アライグマは雑食性が非常に強く、生ゴミやペットフード、庭先の野菜、水槽や池などを目当てに住宅周辺へ寄ってきます。
生ゴミは蓋付きの頑丈な容器に収納し、ペットフードや水槽は屋外に放置しないようにしましょう。畑や家庭菜園、池がある場合は、ネットや電気柵などで物理的にアライグマが触れられない環境を作ることが重要です。ただしアライグマは木登りやジャンプが得意なため、簡易な柵だけでは防ぎきれない点にも注意が必要です。
根本的な対策②:侵入経路の封鎖(穴塞ぎ)

アライグマは前足が発達しており、扉を開けたり隙間をこじ開けたりする器用さを持っています。そのため、わずか10cm前後の隙間があれば屋内に侵入できてしまいます。
屋根や軒天(軒下の板)、床下の換気口などは経年劣化で破損しやすく、代表的な侵入口になります。外壁・屋根周りを点検し、隙間や穴を見つけたら金網やパンチングメタルなどで物理的に封鎖することが必要です。
どれだけ忌避対策を講じても、侵入経路を塞がない限り再侵入のリスクは残ります。根本的な解決には、この「穴塞ぎ」が欠かせません。
アライグマの侵入経路の探し方や封鎖のポイントについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
根本的な対策③:アライグマの「捕獲」

被害を根本から解決するには、個体そのものを排除する「捕獲」が最も確実な手段です。
ただし、アライグマは他の害獣以上に規制が厳しい点に注意が必要です。アライグマは「外来生物法」において「特定外来生物」に指定されており、鳥獣保護管理法に加えて二重の規制がかかります。無許可で捕獲・運搬・野外への放出を行った場合、個人には3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金が科される可能性があります。これはハクビシンやタヌキなど鳥獣保護管理法のみが適用される動物と比べても、罰則が重くなっています。
捕獲を行うには、お住まいの市区町村へ相談し、防除実施計画に基づく許可を得ることが大前提となります。多くの自治体では捕獲カゴの貸し出しや、捕獲後の引き取り支援を行っています。まずは自治体の窓口に相談しましょう。
アライグマの捕獲に関する法律や罠の設置のコツなどについては以下の記事で詳しく解説しています。
アライグマは気性が荒く、人間やペットが近づくと噛みつかれる危険があります。またアライグマのフンには「アライグマ回虫」といった寄生虫が含まれるため、直接触れるのは厳禁です。
捕獲許可を得たとしても、ご自身で捕獲を行う場合は十分に注意して行いましょう。
アライグマが屋内に侵入した場合の対処ステップ

屋根裏からの足音や異臭など、アライグマの侵入が疑われる場合は、被害が深刻化する前に次の手順で対処する必要があります。
①アライグマの「追い出し」(または「捕獲」):屋内にアライグマが居ない状態を作る
②侵入経路の穴塞ぎ(封鎖):侵入に使われた穴を特定して塞ぐ
③糞尿の清掃:残された糞尿を清掃・消臭する
④害虫駆除・殺菌消毒:ダニやノミの駆除、ウイルス・病原菌の殺菌消毒を行う
これらをすべて自分で行うのは、高所作業のリスクや感染症対策の面から現実的に難しい場合が多いです。「自分では難しい」と感じたら、被害が広がる前に専門業者へ相談しましょう。
アライグマ駆除の費用は、被害状況や住宅の構造にもよりますがおおよそ10万~30万円前後が相場と言われています。費用相場や信頼できる業者の選び方については、以下の記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
アライグマの天敵に関するQ&A
Q.猫はアライグマの天敵になりますか?
A. いいえ、なりません。むしろアライグマの方が猫より体格・気性ともに優位なため、遭遇した場合は猫が危険にさらされる可能性があります。小型のペットを飼っているご家庭は注意が必要です。
Q. カラスはアライグマの天敵になりますか?
A. いいえ、天敵とはいえません。カラスは昼行性で、夜行性のアライグマと行動時間帯が重なりにくく、体格差もあるため襲われる可能性は低いです。
Q. 天敵の鳴き声を使う場合、どのような音が効果的ですか?
A. 大型犬や猛禽類(タカ、フクロウなど)の鳴き声が候補になりますが、過度な期待は禁物で、効果はあくまで一時的です。
Q. アライグマが住宅に侵入すると、どのような被害がありますか?
A. 天井裏からの足音、糞尿による悪臭やシミ、断熱材の劣化などが代表的です。アライグマの糞の特徴については以下の記事も参考にしてください。





