庭先や自宅周辺でアライグマを目撃した、あるいは天井裏に侵入された形跡がある、そんなとき「アライグマにはどんな危険があるのか」と心配になる方は少なくありません。
結論として、アライグマが人に直接襲いかかってくる場面は決して多くはありませんが、ハクビシンなど他の中型獣と比べても気性が荒く、威嚇や攻撃に発展しやすい傾向があります。さらに、糞尿を介した感染症や住宅への物理的な破壊など、健康・財産の両面で無視できないリスクを抱えています。


本記事では、アライグマの危険性を「人・ペット」「住宅」「農作物」の3つの視点から整理し、被害を受けた際の具体的な対処法まで解説します。すでにアライグマの出没や被害でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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目次
人間がアライグマに襲われる危険性はある?

アライグマは見た目の愛らしさから「大人しい動物」というイメージを持たれがちですが、実際には野生動物の中でも警戒心が強く、状況によっては人に対して牙を剥くことがある動物です。
通常、人と遭遇した場合は逃げていくケースが多いものの、逃げ場を失って追い詰められたときや、子育て中に人が近づいたときには、鋭い爪や歯を使って強く抵抗してくることがあります。
実際に、当社で屋根裏に生息しているアライグマの子供を捕獲しようとしたところ、親のアライグマが作業スタッフに体当たりをしてきたことがあります。

見た目のかわいらしさに油断して近づいたり、追い払おうと手を出したりするのは絶対にやめましょう。
小型ペットの被害には要注意
犬や猫のような体格のペットであっても、アライグマは臆せず対峙してくることがあります。特にインコやウサギ、モルモットといった小動物は「捕食対象」とみなされる危険性が高く、屋外飼育の場合は夜間を中心に狙われやすくなります。
またアライグマは魚類を食しますので、庭の池で鯉(こい)などを飼育していたり、屋外に水槽を置いていたりなどすると被害に遭いやすくなります。
被害を防ぐには、「頑丈な金属製ケージを使う」「夜間は室内で飼育する」「庭にペットフードを放置しない」「池には近付けないような柵を設置する」などの対策が有効です。
アライグマの危険性:人間が受ける「健康被害」
アライグマが引き起こす危険性の中でも、特に注意したいのが健康面への影響です。ここでは代表的な被害を4つに分けて解説します。
健康被害① 騒音による精神的ストレス
アライグマは夜行性で、日中は物陰や屋根裏でじっとしていますが、日没後になると活発に動き回るようになります。天井裏に住み着かれると、夜間に「ドスドス」という重い足音や、「クルルル」といったうなり声のような鳴き声が響き渡ることがあります。
以下の動画は、屋根裏にアライグマが侵入した様子を捉えた映像です。
こうした騒音被害が続くと、「毎晩物音で眠れず、日中も体がだるい」といった声も多く聞かれ、慢性的な睡眠不足が続くと自律神経の乱れや神経症状につながるおそれもあります。
健康被害② ダニ・ノミによる「虫刺され被害」

アライグマの体毛には、ダニやノミが多数寄生していることが知られています。アライグマ自体に触れなくても、住宅への侵入を許してしまうと、これらの害虫が室内に拡散し、人が刺される被害につながります。
刺されてから1〜2日後に強いかゆみや発疹が生じ、症状が長引くケースもあります。アライグマを追い出した後も、寄生していたダニ・ノミは天井裏や壁の中に残り続けるため、追い出し・封鎖作業とあわせて専門業者による殺虫消毒を行わない限り、二次被害を防ぐことはできません。
健康被害③ 糞尿の蓄積による「悪臭ストレス」

アライグマは決まった場所に繰り返し排泄する「ため糞」の習性があり、屋根裏などに大量の糞尿が蓄積すると、独特の獣臭と排泄物特有の悪臭が住宅内にまで広がります。
日常生活の中でうっすらと臭気を感じ続けることになり、来客時の不快感だけでなく、住んでいる本人の精神的な負担も大きくなりがちです。
健康被害④ ウイルス・病原菌・寄生虫による「感染症被害」

アライグマの糞尿や体には、人に感染する可能性のある病原体が複数確認されています。乾燥した糞が粉塵となって舞い上がり、それを吸い込んだり、汚染された手で食事をしたりすることで感染するケースがあります。代表的なものは以下の通りです。
サルモネラ症【病原体:サルモネラ菌】
アライグマの糞に含まれる菌に接触することで感染し、激しい腹痛・下痢・嘔吐などの急性胃腸炎を引き起こします。乳幼児や高齢者は重症化しやすいため注意が必要です。
カンピロバクター症【病原体:カンピロバクター菌】
糞を介して経口感染し、下痢・腹痛・発熱などの胃腸炎症状が出ます。感染から数週間後に手足の麻痺を伴う「ギラン・バレー症候群」を発症する例もあります。
レプトスピラ症【病原体:レプトスピラ属細菌】
アライグマの尿で汚染された水や土に触れることで皮膚や粘膜から感染し、発熱・頭痛・筋肉痛などを引き起こします。重症化すると黄疸や腎機能障害に至ることもあり、川や水辺周辺に出没するアライグマ特有のリスクとして知られています。
アライグマ回虫症【病原体:アライグマ回虫(バイリサスカリス)】
アライグマの腸内に寄生する回虫の卵を誤って口や目から取り込むことで発症する、アライグマ特有の感染症です。幼虫が中枢神経系や眼に達すると、重篤な神経症状や視力障害を引き起こし、海外では小児の死亡例も報告されています。国内での人体感染例は現時点で確認されていませんが、砂場や庭先がアライグマの糞で汚染されている可能性がある場合は、子どもを近づけないなど注意が必要です。
アレルギー性鼻炎・喘息【原因物質:尿・被毛・ダニやノミなどのアレルゲン】
乾燥した糞の微粒子や体毛、寄生虫を吸い込むことでアレルギー症状が出ることがあります。くしゃみ・鼻水といった鼻炎症状のほか、気管支喘息や皮膚炎を発症する場合もあります。

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アライグマの危険性:「住宅」への被害
アライグマは前足の指が長く、人の手のように器用に物をつかんだり引っかいたりできるため、ハクビシンよりも住宅を物理的に破壊する力が強いといわれています。代表的な被害は以下の通りです。
住宅被害① 天井の染み・破損

ため糞の習性によって天井裏の同じ場所に糞尿が蓄積すると、天井にじわじわと染みが広がり、悪臭とともに天井材そのものが腐食していきます。放置すると天井板がたわみ、最終的に抜け落ちる危険もあり、清掃や消毒だけでは済まず大規模な補修工事が必要になるケースも少なくありません。
住宅被害② 断熱材の破壊・汚染

屋根裏を寝床にする際、断熱材を引き裂いて巣材として使ったり、爪で掘り返したりする習性があります。断熱材が荒らされると住宅の断熱性能が落ち、冷暖房の効きが悪くなるほか、糞尿が染み込んだ断熱材からカビや悪臭が発生し、家全体に広がる原因にもなります。撤去・入れ替えが必要になると、まとまったリフォーム費用がかかります。
住宅被害③ 爪痕による引っ掻き傷
アライグマは鋭い爪を持っており、器用に爪をたてながら住宅に登るケースがあります。このようなケースではアライグマによる鋭い爪痕によって住宅が損傷を受けるケースがあります。
以下の写真は、屋根裏の木材に残っていたアライグマの爪痕の写真です。

木材の上部に細かい引っかき傷が残っていることが分かります。こうした細かい傷が、住宅の屋根や雨樋などに残ってしまうケースが発生します。
住宅被害④ 換気口・戸袋などの破壊による侵入口の拡大
アライグマは非常に手先が器用で、多少の隙間があれば爪と指を使ってこじ開け、侵入口をどんどん広げてしまう習性があります。
以下の写真は、アライグマによって穴(隙間)が拡張されてしまい、侵入経路となってしまった箇所です。

隙間上部がえぐれており、侵入経路が拡張されている様子が分かります。
もともと小さな隙間だった場所が、気づかないうちに大きな破損箇所になっているケースも多く、早期の穴塞ぎが被害拡大を防ぐカギになります。
アライグマの危険性:「農作物」への被害

アライグマは非常に食性が広い雑食性の動物で、特に甘みの強い農作物を好むことで知られています。農林水産省の報告によると、令和5年度におけるアライグマの農作物被害金額は、全国で約4億8千万円にのぼりました。
参考:野生鳥獣による農作物被害状況(令和5年度)|農林水産省
被害を受けやすい代表的な作物は以下の通りです。
| 分類 | 種類 |
|---|---|
| 果物 | ブドウ、メロン、スイカ、イチゴ、モモ、カキ |
| 野菜 | トウモロコシ、トマト、カボチャ、ナス、キュウリ |
| その他 | イネ、養魚場の魚、鶏舎の卵・ヒナ |
とうもろこしやスイカ、メロンなど糖度の高い作物を好む点はアライグマならではの特徴で、家庭菜園でも甘い野菜・果物を狙われやすい傾向があります。また、アライグマは水辺を好むため、養魚場や鶏舎に侵入して魚や卵を食べてしまう被害も報告されています。
アライグマの危険性への「対処法」
アライグマの被害に気づいた場合、あるいは被害が疑われる場合には、次のような対処法が考えられます。
対処法① 忌避剤で近づけないようにする

ホームセンターなどでは、アライグマが嫌う臭いを利用した忌避剤(きひざい)が販売されています。トウガラシ成分やハーブ系の強い香り、天敵となるオオカミの尿を模した成分などが使われており、侵入経路や出没場所に設置することで一定の効果が見込めます。
ただし、アライグマは学習能力が高く、しばらくすると匂いに慣れてしまうこともあります。忌避剤だけで完全に解決するとは考えず、あくまで対策の一つとして活用しましょう。
対処法② 餌となるものを徹底的に管理する

アライグマは雑食性で学習能力も高いため、一度「ここに食べ物がある」と覚えると、繰り返し同じ場所に現れるようになります。生ゴミはフタ付きの容器にしっかり密閉し、ペットフードは屋外に置きっぱなしにしないようにしましょう。
アライグマは手先が器用で、簡易的なフタやラッチ程度であれば自力で開けてしまうこともあるため、ゴミ箱や物置は留め具のしっかりしたものに変えるなどの対策も効果的です。庭の果樹や家庭菜園にはネットや電気柵を設置し、物理的に近づけない工夫も重要です。
対処法③ 自治体に相談し「捕獲」を検討する

被害を根本的に解決するには捕獲が最も確実ですが、アライグマも他の野生鳥獣と同様に「鳥獣保護管理法」の対象であり、個人が無許可で捕獲することは禁止されています。無許可で捕獲を行った場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
さらに、アライグマは「外来生物法」に基づく特定外来生物にも指定されているため、無許可で飼育・運搬・譲渡なども禁止されています。こちらに違反した場合は個人で3年以下の懲役または300万円以下の罰金と、さらに重い罰則があります。
そのため、まずはお住まいの市区町村の担当窓口に相談し、必要な許可を得たうえで捕獲を進める必要があります。多くの自治体では、防除計画に基づいて捕獲カゴの無償貸し出しを行っているため、まずは窓口に問い合わせてみましょう。
アライグマの捕獲に関する法律や罠の設置の際のコツなどについては以下の記事も併せてご覧ください。
なお、自治体などに相談し捕獲カゴを適切に使用したとしても、アライグマの捕獲率は50%前後に留まることが分かっています。捕獲を実施したからといって、即座に被害が無くなる訳ではないという点にも注意が必要です。
参考:市内におけるアライグマ・ハクビシン目撃情報件数・捕獲及び処分頭数等|武蔵村山市
アライグマが屋内に侵入したら「追い出し・封鎖」が必要

天井裏から足音や鳴き声が聞こえるなど、侵入の形跡がある場合は、被害が深刻化する前に次の手順で対処する必要があります。
1.アライグマの追い出し(または捕獲):屋内に個体がいない状態を作る
2.侵入経路の穴塞ぎ:侵入口を特定し、こじ開けられないよう頑丈に塞ぐ
3.糞尿の清掃:残された糞尿を除去する
4.虫駆除・殺菌消毒:ダニやノミの駆除、ウイルス・病原菌の殺菌消毒を行う
これらをすべて自分で行うには、高所作業の危険性や感染症対策など、専門知識と労力が必要になります。難しいと感じた場合は、被害が広がる前に害獣駆除の専門業者へ相談することをおすすめします。
駆除費用は被害状況や住宅の構造によって異なりますが、おおよそ10万〜30万円前後が相場とされています。費用相場や信頼できる業者の選び方については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
アライグマの危険性に関するQ&A
Q. アライグマに噛まれた・引っかかれた場合はどうすればいいですか?
A. まず傷口を流水でよく洗い流し、できるだけ早く医療機関を受診してください。アライグマはサルモネラ菌やカンピロバクター菌などを保有している可能性があり、傷口から感染するおそれがあります。受診時には「アライグマに咬まれた・引っかかれた」ことを必ず医師に伝えましょう。
Q. アライグマの糞を見つけたら自分で掃除してもいいですか?
A. 対応は可能ですが、必ずマスク・手袋を着用してください。特にアライグマの糞にはアライグマ回虫の卵が含まれている可能性があるため、乾いた糞を掃くと粉塵を吸い込む危険があります。清掃後は必ず殺菌消毒も行い、広範囲や高所の場合は専門業者への依頼を検討しましょう。
Q. アライグマはどこから住宅に侵入するのですか?
A. 屋根の隙間や換気口、床下の通風口などが主な侵入経路です。手先が器用なため、小さな隙間でもこじ開けて侵入口を広げてしまう点に注意が必要です。アライグマの侵入経路については以下の記事で詳しく解説しています。
Q. 自治体は無料でアライグマを駆除してくれますか?
A. 多くの自治体では捕獲カゴの貸し出しや捕獲個体の回収までは対応していますが、その後の穴塞ぎや清掃・消毒作業は自己負担で専門業者に依頼する必要があるケースがほとんどです。
Q. アライグマ駆除に補助金はありますか?
A. 特定外来生物の防除として、自治体によっては捕獲や被害対策にかかる費用の一部を補助している場合があります。お住まいの自治体の環境課や農政課に確認してみましょう。
アライグマの危険性に関するまとめ
アライグマは見た目の可愛らしさとは裏腹に、ハクビシンなど他の中型獣以上に攻撃性が高く、住宅への物理的な破壊力も強い外来生物です。健康被害・住宅被害・農作物被害のいずれについても、放置すれば被害は拡大し、駆除にかかる費用も膨らんでいきます。
天井裏からの物音や糞尿被害など、少しでも異変を感じたら、早めに専門の害獣駆除業者に相談し、被害が深刻化する前にアライグマの危険性から住まいと家族を守りましょう。




