アライグマ駆除に「バルサン」は有効?|活用のコツと作業手順・注意点

住宅にアライグマが棲みついてしまった場合、市販の「バルサン」で何とかできないかと考える方は多いはずです。

結論からお伝えすると、バルサンで「アライグマを完全に駆除する(死滅させる)」ことはできません。

一方で、「アライグマを一時的に住宅から追い出す」目的であれば、効果を発揮してくれる可能性があります。

本記事では、バルサンがアライグマの追い出しに役立つ理由、実際の作業手順と注意すべきポイント、追い出しを成功させるコツについて、専門業者の視点から詳しく解説します。

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目次

バルサンで「アライグマを死滅させる」ことはできない

バルサンはもともと殺虫剤として作られた商品です。主成分には「ピレスロイド系」や「オキサジアゾール系」の薬剤が使われており、ゴキブリやダニといった害虫には高い効果を示します。

しかし、これらの成分はアライグマのような哺乳類にはほとんど効果がありません。仮に吸い込んだとしても体内で分解され、尿として排出されるため、翌日には体内にほぼ残留しないのが実情です。(ただし大量吸引時は注意が必要です)

そのためバルサンを使っても、アライグマに多少の不快感や忌避反応を与えることはできても、命を奪うほどの効果(駆除・殺処分)は見込めません。

つまり「バルサンでアライグマを死滅させることは不可能」というのが結論です。

 

バルサンは「一時的な追い出し」には有効

駆除効果こそないものの、バルサンには屋内からアライグマを一時的に追い払う効果が期待できます。理由は主に次の3つです。

 

効果的な理由①:強烈な薬品臭

アライグマは嗅覚が非常に発達した動物です。バルサン使用後は人間でも分かるほどの薬品臭が空間に立ち込めるため、アライグマにとっては極めて不快な臭いとなります。

この刺激臭によって、潜んでいる空間からアライグマが逃げ出すきっかけを作れます。

薬剤噴霧の様子

 

効果的な理由②:立ち込める煙による威嚇

バルサンを焚くと煙が空間全体を満たし、視界が急激に悪化します。

野生動物は視界不良の状況を「危険」と本能的に察知するため、煙の充満した場所からは早く離れようとする習性があります。アライグマも例外ではありません。

 

効果的な理由③:粘膜への刺激

ピレスロイド系の成分は目・鼻・喉の粘膜を強く刺激します。バルサンが充満した空間は人間でも目を開けていられないほどの状態になります。

こうした環境はアライグマにとっても耐えがたい不快感となり、退避行動を促す要因になります。

 

バルサン以外で使えるアライグマ対策グッズ

バルサンの効果を紹介しましたが、ホームセンターには他にも害獣対策をうたう商品が並んでいます。

 

害獣専用の燻煙剤

代表的なのが「害獣専用の燻煙剤(くんえんざい)」です。

バルサンとの違いは煙の匂いにあり、こちらは「トウガラシ成分」や「ハーブ系」の匂いなど、害獣が本能的に嫌う匂いを採用している製品が多く見られます。

アライグマの追い出しという目的だけを考えれば、必ずしもバルサンにこだわる必要はなく、入手しやすい燻煙剤を使用しても問題ありません。

また選ぶ際は、バルサンのように「殺虫成分」入りの製品がおすすめです。アライグマの体には多くの場合ノミ・ダニが寄生しており、屋内に侵入するとこれらが人間にも移り、健康被害につながることがあります。殺虫成分入りの製品なら、追い出しと同時にこうしたリスクの軽減も期待できます。

 

置き型の忌避剤

置き型の忌避剤」も多数販売されていますが、アライグマが潜む空間全体に匂いが行き渡りにくいため、効果は限定的といわざるを得ません。超音波式の忌避グッズも市販されていますが、効果の有無については専門業者の間でも意見が分かれているのが実情です。

なお、ネット通販では天敵の尿を利用した忌避剤も入手可能です。庭先や畑でのアライグマ対策を検討している場合は、こうした商品も選択肢に入れてみてください。

屋内からの「追い出し」を目的とするなら、基本的にはバルサンか害獣専用燻煙剤のいずれかを選ぶのがおすすめです。

 

アライグマ対策グッズの比較まとめ

ここまでに紹介したアライグマ対策グッズを比較したのが次の表です。

アライグマの対策グッズ比較表

※以降、燻煙タイプの商品はまとめて便宜上「バルサン」と表記しますが、害獣専用の燻煙剤を使う場合でも注意点や作業の流れは基本的に変わりません。

 

バルサンでアライグマを追い出す際の注意点

バルサンでの追い出し作業には、必ず押さえておくべき注意点がいくつかあります。これらを怠ると思わぬトラブルにつながる可能性があるため、しっかり確認しておきましょう。

 

注意点①:子育て中の親子がいる場合は使用しない

天井裏に生息するアライグマの子ども
屋根裏に生息していたアライグマの子供

アライグマは天井裏や屋根裏、床下などに侵入すると、その場所で出産・子育てを行うことがあります。生まれたばかりの幼獣がいる状態でバルサンを使用すると、親だけが逃げ出し、身を隠せない子どもが取り残されてしまうケースがあります。

取り残された幼獣はやがて餓死し、悪臭や虫の発生といった二次被害に発展することも珍しくありません。ご自身で作業される場合は、必ず事前に幼獣の有無を確認しましょう。(アライグマの出産期となる4月~6月は特に注意が必要です)

幼獣の有無を見分ける手がかりとしては、天井裏を直接目視するほか、「キューキュー」「クルルル」といった甲高い鳴き声、成獣特有のドスドスとした足音に交じって軽やかな足音が聞こえる、といった音の変化から推測できる場合もあります。

 

注意点②:複数箇所で同時に使用する

アライグマが屋根裏に生息している場合、屋根裏だけにバルサンを使用しても、壁の中を伝って天井裏(1階と2階の間)や床下へ移動するだけで、屋外まで追い出せないことがあります。

アライグマは前足が非常に器用で、わずかな隙間からも移動できるため、逃げ場を一つでも残すと簡単に住宅内を移動されてしまいます。

そのため、バルサンは屋根裏・天井裏・床下の3カ所で同時に使用すると安心です。(平屋の場合は屋根裏・床下の2カ所、3階建て以上の場合は天井裏が2カ所になるため合計4カ所になります)

 

注意点③:火災報知器の誤作動に注意

バルサン使用時は住宅内の「火災報知器」に注意が必要です。煙を感知して警報が鳴ったり、セキュリティ会社に自動通報されたりする可能性があります。

電池式の報知器であれば電池を抜く、あるいは報知器の上に白いビニール袋などを被せて感知を防ぐといった対処をしておきましょう。

 

注意点④:近隣への事前周知

バルサンの煙は建物の隙間から漏れ出すことがあり、近隣の方が「火事では」と誤解して消防に通報してしまうケースがあります。

事前にご近所へ一声かけておくと、こうしたトラブルを防げます。

 

注意点⑤:ペットへの配慮

池の鯉

バルサンは人やアライグマ、犬・猫などの哺乳類には毒性が低い一方、金魚やメダカなどの魚類、昆虫類には強い影響を与えます。

水槽や昆虫のケージがある場合は、煙の届かない場所に避難させるか、一時的に屋外へ移動させましょう。

犬や猫への直接的な害はありませんが、煙に驚いて脱走してしまう恐れがあるため、使用中は煙の届かない部屋に隔離するか、目を離さないようにしてください。

 

これらの注意点を踏まえたうえで「自分での対応は難しい」と感じた場合は、無理をせず専門の害獣駆除業者に相談することをおすすめします。多くの業者が無料相談を受け付けています。

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バルサンを使ったアライグマ追い出しの手順

ここからは、実際にバルサンを使ってアライグマを追い出す作業の流れを解説します。事前準備を怠ると、せっかく追い出してもすぐに再侵入されてしまうため、全体の流れを理解してから取り組みましょう。

 

ステップ1:侵入経路を特定する

アライグマの穴塞ぎ施工前

アライグマが住宅に侵入しているということは、必ずどこかに通り道となる隙間や穴が存在します。バルサン使用後にこの経路を塞がなければ、いずれ再侵入を許してしまいます。

アライグマは非常に器用な手を持ち、わずかな隙間でもこじ開けて侵入することがあるため、侵入経路の特定は想像以上に難易度が高く、経験豊富な業者でも慎重な点検が必要です。

主な侵入箇所は以下の通りです。

害獣が侵入しやすい場所

・屋根の重なり部分
・軒下(のきした)
・床下の換気口
・換気扇などの開口部

これらの箇所を重点的に確認し、侵入が疑われる場所の見当をつけておきましょう。

アライグマの侵入経路については、以下の記事で詳しく解説しています。

 

ステップ2:バルサンを使用する場所を決める

前述の通り、バルサンは屋根裏・天井裏・床下の全箇所で同時に使用すると安心です。それぞれの場所には開閉可能な「点検口」が設けられていることが多く、そこからバルサンを設置します。

天井点検口

点検口が無い住宅の場合は、大工やリフォーム業者に新設を依頼することもできますが、害獣駆除の専門業者であれば一括で対応できることが一般的です。費用や作業の流れを考えると、専門業者にまとめて依頼した方がスムーズなケースが多いでしょう。

点検口のある場所だけで作業を済ませることも可能ですが、点検口の無い場所にアライグマが逃げ込んでしまう恐れがあるため、あまりおすすめできません。

床下点検口が無い場合については、弊社のこちらの記事で対処法を解説しています。よろしければご参考ください。

 

ステップ3:バルサンと補修資材を準備する

パンチングメタル

準備が整ったら、必要な個数のバルサンと、穴を塞ぐための資材・工具を用意します。

現地で穴の大きさや形状を採寸したうえで、「金属用ハサミ(金切りバサミ)」を使い、「パンチングメタル」を穴の形状に合わせて加工します。加工したパンチングメタルは、「ビス」や「コーキングボンド」で四隅をしっかり固定します。

必要な資材・工具は以下の通りです。すべての穴をふさげる十分な数量を用意しましょう。

パンチングメタル
金属用ハサミ(金切りバサミ)
ビス(固定用)
コーキングボンド(固定用)
ビス打ち込み用の工具(必要に応じて)

 

ステップ4:使用前の最終準備

バルサンを実際に使用する前に、次の項目を一つずつ確認しておきましょう。

・火災報知器の対策
・ペットの避難
・ご近所への事前連絡
・食品・精密機器へのカバー掛け

 

ステップ5:バルサンを設置・使用する

準備が整ったら、点検口を開けてバルサンを設置し、すぐに蓋を閉めて密閉状態を作ります。

通常は2〜3時間ほど放置します。(製品の説明書の指示に従ってください)

使用中は住宅の外周をぐるっと一周してみると、思わぬ場所から煙が漏れているのを発見できることがあります。この煙漏れは、アライグマの侵入経路(穴)を特定する手がかりにもなるため、必ずチェックしておきましょう。

 

ステップ6:速やかに穴を塞ぐ

アライグマの穴塞ぎ施工後

バルサン使用後は、できるだけ早く侵入経路の封鎖作業に取りかかります。時間を置いてしまうと再侵入を許す可能性が高いため、使用した当日中に済ませるのが理想です。

侵入経路が屋根など高所にある場合は、屋根に上っての作業が必要になります。雨天時は足元が滑りやすく大変危険なため、追い出し作業は晴天時に行うようにしましょう。

 

「閉じ込め」には十分注意

穴塞ぎの工程は再発防止のために重要ですが、その際にもっとも注意したいのが「アライグマを住宅内に閉じ込めてしまう」ケースです。

閉じ込めてしまうと、住宅内で暴れて被害が拡大したり、最終的に餓死して悪臭や虫の大量発生といった二次被害を招いたりする可能性があります。

バルサン使用後は十分に換気を行ったうえで、屋根裏や床下を一度点検し、「確実にアライグマがいない」ことを確認してから穴塞ぎを行うようにしましょう。

ここまでの作業を見て「自分での対応は難しそう」と感じたら、無理をせず専門業者への相談を検討してください。アライグマ駆除の費用相場は、一般的に10万〜30万円前後とされています。作業の内容や費用を抑える方法については以下の記事で詳しく解説しています。

 

追い出し後にやっておきたい作業

天井裏のアライグマのフン
アライグマの糞

バルサンの使用と穴塞ぎが完了すれば、応急処置としては一区切りです。

しかし、アライグマが一度でも住宅に侵入していた場合、屋根裏や床下にはフンが残っていたり、体に付着していたノミ・ダニが落ちていたりするなど、衛生面での問題が残っている可能性があります。

・アライグマのフンの清掃
・屋根裏・床下の除菌、消毒

今後の安心のためにも、この2点は必ず実施しておくことをおすすめします。特にアライグマのフンには「アライグマ回虫(バイリサスカリス)」と呼ばれる寄生虫が含まれている場合があり、素手での処理は避け、マスクや手袋を着用したうえで対応する必要があります。

アライグマの糞の特徴や清掃方法などについては以下の記事で詳しく解説しています。

 

アライグマの「捕獲」は自分でできるのか?

害獣の捕獲用カゴとエサ

バルサンで追い出せない場合、専門業者に依頼するのが最も確実ですが、自分で対処する場合は「捕獲」という選択肢も考えられます。

ここで注意したいのが、アライグマは鳥獣保護管理法の対象であるうえ、日本の生態系に大きな影響を与える「特定外来生物」にも指定されている動物だという点です。

具体的には、アライグマを無断で捕獲した場合には鳥獣保護管理法違反となり1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。また無断で野外に放つなどした場合には外来生物法違反となり3年以下の懲役または300万円以下の罰金と、とても重い処罰を受けることになります。

捕獲を行う場合は、お住まいの自治体を通じて鳥獣保護管理法または外来生物法に基づく手続きを行う必要がありますので、まずはお住まいの自治体の窓口に相談してみましょう。

アライグマの捕獲については以下の記事で詳しく解説しています。

 

アライグマ駆除とバルサンに関するQ&A

Q. バルサンを使えばアライグマは死にますか?

A. いいえ、死にません。バルサンの殺虫成分は哺乳類にはほとんど効果がなく、あくまで「追い出し」の効果が期待できる程度です。

Q. 一度バルサンを焚けばもう戻ってきませんか?

A. いいえ、効果はあくまで一時的なものです。アライグマにも強い帰巣本能があるため、侵入経路をふさがない限り再び戻ってくる可能性が高いです。アライグマの巣については、以下の記事も併せてご覧ください。

 

Q. 蚊取り線香でも代用できますか?

A. 蚊取り線香は煙の量が少なく、効果はかなり限定的です。本格的に追い出したい場合は、バルサンや専用の燻煙剤を使用しましょう。

 

Q. バルサンは何個くらい必要ですか?

A. 平屋なら2個(屋根裏・床下)、2階建てなら3個(屋根裏・天井裏・床下)、3階建て以上なら4個(屋根裏・天井裏2カ所・床下)が目安です。住宅の広さに応じて、製品の説明書に従って必要数を用意してください。

 

Q. 追い出し作業だけを業者に依頼することは可能ですか?

A. 一部の業者では追い出し作業のみの依頼を受け付けている場合もあります。ただし、その後の穴塞ぎやフン清掃を行わないと被害が

再発したり健康被害につながったりするため、追い出しのみの依頼は基本的におすすめできません。

 

Q. 追い出しから全工程を業者に依頼するといくらかかりますか?

A. 住宅の規模にもよりますが、追い出し・穴塞ぎ・フン清掃・消毒まで一式を依頼した場合、20万〜30万円前後が相場です。アライグマ駆除の費用については以下の記事で詳しく解説しています。

 

まとめ:バルサンはアライグマの「追い出し」に活用しよう

本記事では、バルサンでアライグマを完全に駆除することは難しいものの、「追い出し」の手段としては有効に活用できることを解説しました。重要なポイントを改めて整理します。

子育て中の幼獣がいないか必ず確認する:取り残された幼獣が餓死し、悪臭や害虫発生といった二次被害につながる恐れがあります。

屋根裏・天井裏・床下で同時に使用する:1カ所だけの使用では、アライグマが別の場所へ逃げ込んでしまう可能性があります。

使用当日中に穴塞ぎまで完了させる:時間を置くと効果が薄れ、再侵入を許してしまいます。穴塞ぎ後のフン清掃・消毒も忘れずに行いましょう。

煙の漏れを侵入経路特定の手がかりにする:使用中に住宅の外周を確認すると、思わぬ場所から煙が漏れているのを発見できることがあります。

アライグマは「特定外来生物」であることを踏まえて対応する:ハクビシンなど在来種とは異なり、外来生物法による規制も関係するため、捕獲を検討する際は自治体への相談が欠かせません。

作業の内容を見て「自分では難しそうだ」と感じた場合は、無理をせず専門の害獣駆除業者へ相談することをおすすめします。害獣駆除業者の選び方については、以下の記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。

           

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執筆・監修者

執筆者 林 翔平

林 翔平

           

2012年株式会社セスコに入社し、これまで1,000件以上の害獣調査に従事。東京都ペストコントロール協会加盟。害獣駆除パートナーのコラム記事全ての執筆および監修を担当。

【保有資格】

・JPCA「ペストコントロール技術者1級」

・日本しろあり対策協会「しろあり防除施工士」

・日本健康住宅協会「健康住宅アドバイザー」

創業39

安心の実績 51,207

※2026年3月末

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