ハクビシンによる被害にお悩みの方の中には、「ハクビシンに天敵は存在するのか?」「天敵を利用して追い払えないのか?」と考えたことのある方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、日本国内において、ハクビシンを日常的に捕食するような「強力な天敵」はほぼ存在しません。
また、ハクビシンが天敵を嫌がる習性を利用した対策も存在しますが、その効果は限定的と言わざるを得ません。ハクビシン被害を確実かつ長期的に防ぐには、天敵に頼らない別の「根本的な対策」が必要となります。
本記事では、ハクビシンの天敵事情やその利用の限界、そしてハクビシン被害を確実に収束させる根本的な対策について、詳しく解説します。ハクビシンの被害にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

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目次
ハクビシンの「天敵」とは?

ハクビシンは東南アジアを原産とする、ジャコウネコ科の哺乳類です。
現地ではトラやヒョウ、大型のヘビといった肉食獣や爬虫類に捕食されることがあり、これらが本来の「天敵」といえます。
一方、日本国内では、このような大型の捕食者を見かける機会はほとんどありません。そのため、日本におけるハクビシンの天敵(脅威となる存在)としては、以下のような動物が挙げられます。
猛禽類(タカ・ハヤブサ・フクロウなど)

タカやハヤブサ、フクロウといった猛禽類(もうきんるい)は、鋭い爪やくちばしを持ち、他の動物を捕食する肉食の鳥類です。日本で見られる主な猛禽類には、次のような種類があります。
| 分類 | 種類 |
|---|---|
| タカ目 | トビ、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、クマタカ、イヌワシ、サシバ |
| ハヤブサ目 | ハヤブサ、チョウゲンボウ |
| フクロウ目 | フクロウ、アオバズク、コノハズク、コミミズク |
これらは「ハクビシンの天敵」とされることもありますが、大人のハクビシン(成獣)が襲われる可能性は極めて低いのが現実です。
ハクビシンの成獣は体長50〜70cm、体重3〜5kgほどあり、中型のネコと同じくらいの体格をしています。日本の猛禽類にとって、ハクビシンは反撃のリスクが高いため、積極的に狙うことはまずありません。襲われる可能性があるとすれば、まだ体が小さい子どものハクビシン(幼獣)に限られます。
また、ハヤブサに至っては「日中に空を飛んでいる鳥を捕らえる」習性があり、夜行性で地上や木の上を移動するハクビシンを襲うことは、野生下ではまず考えられません。
なお、一部では猛禽類をペットとして飼育するケースも見られますが、街中でこれらがハクビシンを撃退してくれるといった機会は、現実的には期待できないでしょう。
アライグマ、キツネ、タヌキなどの中型の哺乳類

アライグマ、キツネ、タヌキといった中型の哺乳類も、ハクビシンの天敵になり得ます。
ただし、これらはハクビシンを積極的に捕食するのではなく、同じ餌場や縄張りをめぐる競合相手(ライバル)と呼ぶ方が適切です。
特にアライグマは、住宅の屋根裏を棲み処にする習性がハクビシンと酷似しています。実際の駆除現場では、ハクビシンとアライグマ双方の痕跡が発見されることも珍しくありません。
以下の動画は、住宅の天井裏に侵入したアライグマを捉えた映像です。
一般的にアライグマの方が力も強く、気性も荒いため、縄張り争いが発生した際には、ハクビシンが追い払われてしまう可能性が高いです。
大型の飼い犬

ハクビシンよりも体の大きな大型犬は、ハクビシンにとって実質的な「天敵」と言える存在です。
大型犬がハクビシンを捕食する訳ではありませんが、敷地内にハクビシンが近づいた際、威嚇して追い払ってくれる可能性は高いです。
飼い犬のいる住宅は多く、日本においてハクビシンを抑制できる「天敵」と言えるのは、現実的には大型の飼い犬であると言えます。
このように、「ハクビシンの天敵」といっても、野生下でハクビシンを日常的に捕食するような強力な天敵は日本にはほぼ存在しません。
日本でハクビシンの被害が急増している要因の一つは、彼らにとって脅威となる存在が少ないことが影響していると考えられます。
「天敵を嫌う習性」を利用したハクビシン対策
前節ではハクビシンの天敵について解説しましたが、その「天敵を嫌う習性」を利用した防除対策はあるのでしょうか。
日本の一般的な住宅で取り入れやすい代表的な対策は、以下の通りです。
対策①:天敵の「尿の匂い」を利用する

ハクビシンは臆病な性格をしているため、自分以外の動物の気配、特に天敵や捕食者による「尿の匂い」を非常に嫌います。
この習性を利用し、ハクビシンが本能的に避ける「オオカミの尿」を主成分とした忌避剤が市販されています。このような商品を設置すれば、ハクビシンを遠ざける効果が期待できます。
これらは本格的な駆除ではなく過度な期待は禁物ですが、ネット通販などで手軽に購入できるため、ハクビシン対策の第一歩として検討してみる価値はあるでしょう。
※補足:ハクビシンとオオカミは生息地が異なるため、自然界においてオオカミがハクビシンの天敵というわけではありません。あくまで「野生動物が本能的に恐れる匂い」を利用した対策になります。
対策②:天敵の「鳴き声」を利用する

ハクビシンは聴覚が優れており、自分以外の動物が発する「鳴き声」を警戒する習性があります。
この習性を利用し、天敵となり得る大型動物や大型犬の鳴き声をスピーカーやスマートフォンから流すことで、ハクビシンを遠ざける対策が効果を出せることがあります。
特に、住宅の天井裏へ侵入された場合は、点検口からこうした機器を設置し、音を流すことで、ハクビシンに「ここに天敵がいる」と誤認させ、追い出せる可能性があります。
こうした応急処置的な追い出し方法については、以下の記事もあわせて参考にしてください。
「天敵」を利用する対策の効果が限定的な理由

前述の通り、オオカミの尿を利用した忌避剤や、天敵の鳴き声を利用した対策には、一定の抑止効果が期待できます。しかし、これらは「一時的な」効果にとどまることが多く、根本的な解決策にはなりにくいのが現実です。
その背景には、ハクビシンの高い適応能力と、日本の住環境特有の事情が関係しています。
理由①:学習能力が高く、刺激に慣れてしまう
ハクビシンは哺乳類の中でも非常に学習能力が高い動物です。最初は天敵の尿の匂いや鳴き声に警戒して逃げ出したとしても、時間が経過して実害がないことを知ると、やがて無視するようになります。
この性質は天敵を利用した対策に限らず、市販の一般的な忌避剤や超音波装置などにおいても同様です。
実際、専門家による駆除現場においても、同じ製品を長期間繰り返し使用することでハクビシンが環境に順応してしまい、徐々に効果が薄れていくことがあります。
理由②:日本の住宅街はハクビシンにとって「安全地帯」
日本の住宅街は、ハクビシンにとって非常に住みやすい「安全地帯」といえます。
ハクビシンは雑食性のため、果樹や家庭菜園、生ゴミなどといった豊富な食糧を確保できます。
さらに、住宅の天井裏や床下といった天敵から身を守れる場所は、ハクビシンにとって絶好の休息場所であり、安定した繁殖を可能にする棲み処でもあります。
こうした環境下では、ハクビシンは安全を確保しながら快適に過ごすことができます。そのため、小規模な威嚇や忌避対策だけでは、完全に排除することは難しいのが実情です。
ハクビシン被害の「根本的な対策」とは?
前述の通り、匂いや音を利用した対策は一時的な効果にとどまることがほとんどです。
では、ハクビシン被害を根本から解決し、現在および将来にわたって侵入を防ぐためには、どのような対策が必要なのでしょうか?
ハクビシンを確実に追い出し、再侵入を永続的に防ぐための「根本的な対策」は、以下の通りです。
根本的な対策①:生ゴミ・ペットフード・果樹の管理

ハクビシンは雑食性であり、人間が出す生ゴミや屋外に置いたペットフードを餌とします。これらが放置されていると、ハクビシンを住宅周辺に引き寄せる原因となります。
生ゴミは蓋付きの頑丈なゴミ箱に収納する、ペットフードは屋内で管理するなど、徹底した対策を行いましょう。
また、ハクビシンは熟した甘い果物を好みます。庭に果樹がある場合は、ネットや柵を設置し、物理的に果実に触れられない環境を作ることが、彼らを寄せ付けないための重要な対策となります。
ハクビシンの好物については以下の記事で詳しく解説しています。
根本的な対策②:侵入経路の封鎖(穴塞ぎ)

住宅にハクビシンが通過できる隙間や穴があると、そこから侵入され、屋根裏などに定住される恐れがあります。
ハクビシンは細長い体型をしており、わずか直径8cm程度(人間の握りこぶし大)の隙間があれば侵入可能です。
そのため、外壁や屋根周りに穴や隙間がないかを徹底的に点検し、発見した場合はパンチングメタル(金属板)や金網などで物理的に封鎖する(塞ぐ)必要があります。
どれほど忌避対策を講じても、侵入経路を塞がない限り、追い出した個体が戻ってきたり、別の個体が侵入したりするリスクが残ります。根本的な解決には、物理的な「侵入経路の封鎖(穴塞ぎ)」が欠かせません。
ハクビシンの侵入経路の探し方や封鎖のポイントについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
根本的な対策③:ハクビシンの「捕獲」

ハクビシン被害を根本的に解決するには、個体を物理的に排除する「捕獲」が最も確実な手段となります。
ただし、ハクビシンは鳥獣保護管理法により保護されている動物であり、個人の判断で捕獲や殺傷を行うことは固く禁じられています。許可なく捕獲した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります。
そのため、捕獲を実施するには、お住まいの市区町村の担当部署へ相談し、必要な許可を得ることが大前提となります。多くの自治体では、捕獲カゴの貸し出しや捕獲後の回収を支援する制度を設けています。まずは各自治体の窓口へ連絡し、行政の指示に従いながら進めるようにしましょう。
ハクビシンの捕獲手順や注意点については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
ハクビシンが屋内に侵入したら「追い出し・封鎖」が必要
屋根裏から足音や鳴き声が聞こえるなど、ハクビシンが屋内に侵入した形跡がある場合は、被害が深刻化する前に以下の手順で速やかに対処する必要があります。
手順① ハクビシンの「追い出し」(あるいは「捕獲」):ハクビシンが屋内に居ない状態を作る
手順② 侵入経路の穴塞ぎ(封鎖):ハクビシンが住宅に侵入した穴を特定し、塞ぐ
手順③ 糞尿の清掃:ハクビシンの残した糞(フン)と尿の清掃
手順④ 害虫駆除・殺菌消毒:ダニやノミなどの害虫駆除、ウイルスや病原菌の殺菌消毒を行う
これらの作業をすべてご自身で行うには、高所作業のリスクや感染症への対策など、多大な労力と危険が伴います。少しでも「自分では難しそうだ」と感じたら、被害が深刻化する前に害獣駆除の専門業者へ相談しましょう。
ハクビシン駆除の費用は、被害状況や住宅の構造にもよりますが、おおよそ10万~30万円前後が相場と言われています。費用相場や信頼できる業者の選び方については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
ハクビシンの天敵に関するQ&A
Q.猫はハクビシンの天敵になりますか?
A.いいえ、猫はハクビシンの天敵になりません。
猫よりもハクビシンの方が体が大きく、ハクビシンが襲われる可能性が低いといえます。むしろ体の小さな猫の場合はハクビシンの方から襲われる危険性もありますので注意が必要です。
Q.カラスはハクビシンの天敵になりますか?
A.いいえ、天敵とはいえません。そもそもカラスは昼に活動をしており、夜行性のハクビシンと遭遇する可能性は低いといえます。また体格もハクビシンの方が大きいため、ハクビシンが襲われる可能性は低いといえます。ただしハクビシンの子どもなどの場合には、カラスに襲われる可能性があります。
Q.天敵の鳴き声とは、どのようなものが良いですか?
A.猛禽類(タカ、フクロウ)や大型犬などの鳴き声が良いでしょう。ただし過度な期待はせず、効果も一時的である可能性が高いです。
Q.ハクビシンが住宅に侵入した場合は、どのような被害がありますか?
A.天井裏から足音が聞こえたり、糞尿によって悪臭や染みができてしまうなどの被害が起こります。ハクビシンに限らず、天井裏で動物の気配を感じたらすぐに害獣駆除業者に相談することをおすすめいたします。ハクビシンの危険性については以下の記事もあわせてご覧ください。







