「朝起きたら、ベランダに黒い粒が落ちていた」 「屋根裏から物音がした後、庭に見慣れない糞を見つけた」
そんな経験はありませんか? 家の周りで正体不明のフンを見つけたら要注意です。それは単なる汚れではなく、野生動物(害獣)が潜んでいるサインかもしれません。
また、糞の形状や大きさ、落ちている場所、そして臭いなどは、その害獣の正体を突き止めるための決定的な証拠となります。
害獣によって、侵入経路も違えば、有効な対策も異なります。例えば、ネズミ用の罠を仕掛けても、相手がイタチであれば効果はありません。むしろ、学習能力の高い害獣は警戒を強め、かえって駆除が難しくなるケースもあります。まずは害獣の種類を特定することが、害獣対策の第一歩です。
この記事では、年間数多くの害獣駆除を行う専門家が、「害獣の種類を糞(フン)で見分ける方法」を写真とともに解説します。
目次
種類別:害獣の糞の特徴と見分け方
日本国内で家屋に侵入し、被害をもたらす主な害獣は、ネズミ、ハクビシン、コウモリ、アライグマ、イタチです。
これらの動物は、体の大きさや食性(何を食べるか)、習性がそれぞれ異なるため、排出される糞にも明確な違いが現れます。
ここでは、それぞれの害獣が残す糞の特徴を詳しく解説します。
ネズミの糞の特徴
家屋被害で最も多いのがネズミです。ネズミの糞は、種類(ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ)によって多少サイズが異なりますが、共通した特徴があります。
大きさ: 長さ4mm〜20mm程度
形状: 両端、または片方が尖っている。形は不揃い
色: 茶色か、こげ茶色
場所: 動き回りながら排泄する習性があるため、広い範囲にパラパラと散らばっている



・種類による細かい違い
種類によって、糞のサイズやよく見つかる場所が異なります。
クマネズミ: 長さ6mm〜10mm程度。細長い形状。屋根裏や高所を動きながら排泄して散乱させる
ドブネズミ: 長さ10mm〜20mm程度。太くて両端に丸みがある。床下や水回りなど湿った場所に多く、まとまって落ちていることもある
ハツカネズミ: 長さ4mm〜7mm程度。米粒より一回り小さい程度の大きさで、両端が尖っている。倉庫や僅かな隙間に多い
なお、糞にツヤや湿り気がある場合は、「数時間前までそこにいた」可能性が高いです。逆に、乾燥して、触れるとボロボロ崩れる場合は、時間の経った古い糞とみなすことができます。
ハクビシンの糞の特徴
近年、都市部でも被害が急増しているハクビシンです。ハクビシンの糞には、他の害獣とは異なるわかりやすい特徴があります。
大きさ: 長さ5cm〜10cm、直径2cm程度
形状: 丸みを帯びた細長い形状
色: 黒色、または茶褐色
内容物: 果実の種や皮がそのまま混じっていることが多い
場所: 屋根裏などの特定の場所にまてめて排泄する(ため糞)



ハクビシンは、決まった場所で排泄を繰り返す「ため糞」という習性を持っています。
最初は数本のフンでも、放置すると山のように積み上がり、強烈なアンモニア臭を放つようになります。特に屋根裏で「ため糞」をされた場合、糞尿の水分が天井板に染み出し、大きなシミができたり、天井が腐食して大規模な修繕が必要になったりするケースもあります。
コウモリの糞の特徴
「軒下やベランダに、黒くて細長い粒がたくさん落ちている」という場合、その正体はコウモリ(主にアブラコウモリ)である可能性が非常に高いです。
大きさ: 長さ5mm〜10mm、直径2mm程度
形状: 細長い
色: 黒色、またはこげ茶色
内容物: 昆虫の羽や脚が含まれている
場所: 軒下やベランダ、シャッターの隙間の下などに集中的に落ちている


軒下の壁や床、シャッターの隙間の下などにフンがまとまって落ちているなら、それはコウモリがそこを休憩場所や住処にしているサインです。
なお、コウモリの糞とネズミの糞はサイズが似ていますが、質感に大きな違いがあるため、見分け方は簡単です。 割り箸などで確認してみてください。(後述の通り、糞を直接手で触らないでください)
コウモリの糞: 乾燥しており、軽い力でパサパサと粉々に崩れる。(主食が昆虫のため、未消化の殻がもろくなっている)
ネズミの糞:硬くて潰れにくい、あるいは粘土のような粘り気がある。(主食が穀物などのため、密度が高い)
アライグマの糞の特徴
特定外来生物に指定されているアライグマは、一見愛らしく見えますが非常に気性が荒く、その糞には他の動物とは異なる特徴があります。
大きさ: 長さ5cm〜15cm、直径2cm~3cm程度
形状: 食べたものにより変化するが、一般的に「棒状」で、ハクビシンよりも太くがっしりしている
内容物: 雑食性のため、昆虫の殻、果実の種、小動物の骨や鳥の羽などが未消化のまま混ざる
場所: 屋根裏などの特定の場所にまとめて排泄する(ため糞)
臭い: 非常に強い悪臭を放つ(動物性のエサを多く摂取するため)

ハクビシンも同様に「ため糞」を行いますが、ハクビシンの糞は植物質(果実の種)が中心で、細長い形状をしています。一方、アライグマの糞はより太く、動物性の残骸が混ざる点が大きな違いです。
また、アライグマは非常に凶暴で、近づくと襲われる危険があります。糞を見つけても周囲を不用意に探さないようにしましょう。
イタチの糞の特徴
イタチは山林から市街地まで広く生息しています。肉食傾向が非常に強いため、その糞には他の害獣とは異なる顕著な特徴があります。
大きさ: 長さ5mm〜15mm程度
形状: 非常に細長く、ねじれている。水分を含みベチャッとしている。
色: 黒色、または濃褐色
内容物: ネズミなど小動物の毛や骨、昆虫の残骸、果物の種子が混ざっている
場所: 屋根裏などの特定の場所にまとめて排泄する(ため糞)
臭い: スカンクのような、鼻を突く強烈な臭い

イタチの糞尿被害で最も深刻なのは、その水分量です。ため糞によって屋根裏の断熱材が腐食したり、天井板に大きな黄色いシミを作ったりします。
イタチは非常に身体がしなやかで、500円玉程度の隙間(約3cm)があれば容易に屋内に侵入します。糞を見つけた場合は、近くに小さな隙間や通風口、瓦のズレがないかを確認する必要があります。
【一覧表で比較】害獣種別の糞の特徴のまとめ
ここまで解説した特徴を、分かりやすく一覧表にまとめました。発見した糞と見比べてみてください。

要注意!糞を見つけたときにしてはいけないこと
「気持ち悪いから早く掃除したい!」 その気持ちは痛いほど分かりますが、間違った掃除方法はあなた自身の健康を害する恐れがあります。以下の行為は絶対に行わないでください。
① 素手で触る・不用意に近づく
野生動物の糞は、病原菌の巣窟です。サルモネラ菌、レプトスピラ菌、ハンタウイルス、寄生虫(回虫、条虫など)など、多種多様な雑菌・ウイルスが含まれています。
これらが手に付着し、その手で食事をしたり目や口に触れたりすることで感染し、健康被害が生じます。
フンを素手で触るのは絶対にNGです。触るときは、ゴム手袋とマスクの着用が必須です。

被害が最も多いネズミが原因の感染症は次で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
ネズミが原因で起こる感染症・健康被害の一覧【ネズミと健康被害】
② 掃除機で吸い取る
これも危険な行為の一つです。 乾燥した糞を掃除機で吸うと、糞に含まれるウイルスや菌が排気口から部屋中に撒き散らされます。これを吸い込むことで、重篤な感染症にかかるリスクが高まります。
糞の掃除は、ほうきで静かに集めるか、濡れた新聞紙などで拭き取るようにしましょう。
③ アルコールスプレーだけで安心する
「アルコールをかけたから大丈夫」と思わないでください。ウイルスや細菌の中には、市販のアルコール消毒が効かないものもあります。
また、糞があった場所は、単に汚れているだけでなく、害獣がつけたマーキング(縄張りの臭い)が染み付いています。この臭いが残っている限り、害獣は「ここは自分の縄張りだ」と認識し、何度でも戻ってきます。
害獣駆除のプロは、専門の薬剤を使って殺菌・消臭・防臭処理を徹底的に行います。

④ 糞だけ片付けて放置する
「掃除したからもう大丈夫だろう」と放置するのは危険です。 糞があるということは、そこに害獣が侵入する経路があり、住処としている可能性があるということです。
既に屋内に定着したり、侵入経路が存在したりしている等の根本的な原因を解決しない限り、また同じ場所に糞が溜まります。屋根裏や床下で繁殖し、子供を産んでいる可能性もあります。
さいごに:糞の特定と害獣駆除はプロにお任せください
ここまで糞の特徴を解説してきましたが、実際には 「乾燥していて形状が変わっている」「動物の糞を見つけたが、どこから侵入しているのか分からない」 といったケースが非常に多いです。
もし、ご自宅で謎の糞を見つけたら、無理に自分で対処しようとせず、専門の害獣駆除に相談いただくことをお勧めします。